今週の一枚 Nothing's Carved In Stone

今週の一枚 Nothing's Carved In Stone

Nothing's Carved In Stone
『Strangers In Heaven』



Nothing’s Carved In Stone(以下、NCIS)は、デビューしてから5年間に今作を含めて6枚のアルバムをリリースしている。
かなりのハイペースだ。
しかもいま流行りのミニアルバムは1枚もなく、6作ともすべてフルアルバムである。
もちろんライブもしっかりやっている。フェスにもレギュラーで出演している。
ベースのひなっちがストレイテナーと掛け持ちでやっていることを考えると、
超濃密な活動ペースである。

活動ペースだけではなく、NCISの音はどんどん濃密になってきている。
最初から、生形とひなっちが組んだという時点で筋肉質なロック・バンドになることは予想できたし、
実際に彼らの1stアルバムには、日本にはそう多くない剛健で筋肉質なロックがみっしりと詰まっていた。
そこからアルバムを重ねるごとに、彼らのサウンドはますます強くしなやかに鍛えられ、前作『REVOLT』でそれはかなり極められた。
そして今作では、その強靭な一枚岩のNCISサウンドがハイブリッドになっているのと同時に、
メンバー個々のカラーが鮮やかに見え始めた。
骨太で筋肉質なロックを土台にして、曲によって様々なベクトルに進化し、ファンクや打ち込みを交えながらジャンルを超えてカラフルになってきている。
でもきっとこの進化は彼らにとってあくまでも「ロック」としての進化であり、つまりこれまでと何も変わっていないはずだ。


NCISにはピュアなロックのロマンがある。
ロックをやるというロマン、それ以外の邪念を一切感じない。
「ロックをやるというロマン」だけでロックをやること、それは今の時代では珍しいものになってしまっている。
ロックがロマンそのものではなくて、ロマンを叶えるための手段になってしまっている。
でもNCISは違う。
NCISの音はロックのロマンそのものの匂いがするのだ。
それが最大の魅力だと思う。


最後に余計なお世話だとは思うが、次は例えば海外のサウンド・プロデューサーと組むのはどうだろうか。
一人一人のメンバーのプレイに込められた躍動感をもっとリアルに聴かせるテクニカルな方法がある気がする。
そして今のNCISならがっちりとハマる気がするのだが。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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