【10リスト】YOASOBI、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】YOASOBI、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
もはや説明不要。世代を超えて圧倒的支持を得る、「小説を音楽にする」ユニット、YOASOBI。彼らの楽曲はリリースされるたびに新たな世界を見せながら、予想を上回るスピード感でユニットは成熟を続けている。原作となる小説やテキスト、そこから生まれる音楽、そしてMVとの関係性は制作を重ねるごとに濃密に、多様な魅力を放ち、Ayase(Composer)とikura(Vo)が生み出すポップミュージックのクオリティはもはや世界基準。そんなYOASOBIを語るうえで外せない10曲を「rockinon.com」編集部がピックアップ。時を経ても色褪せない、鮮烈な楽曲の数々を今一度振り返ってみよう。(杉浦美恵)


①夜に駆ける

2019年、小説&イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説をもとに音楽を制作するというプロジェクトとして始まったYOASOBI。そのプロジェクトの第1弾楽曲として同年12月に配信リリースされたのがこの“夜に駆ける”。星野舞夜が書き上げた『タナトスの誘惑』という小説を原作とし、その物語に描かれた危うい死生観をポップミュージックに昇華させた曲として、今振り返ってみても見事というほかない楽曲。タナトスに魅入られていく主人公の感情の動きを、繊細な歌詞と流れるようなメロディラインで描いたAyaseのソングライティング、そしてその重いテーマを透明感のある歌声で歌いきったikuraの表現力は図抜けている。当時まだ東京藝術大学に在学中だった藍にいなが手がけたアニメーションで表現されたMVも楽曲の世界観を後押しし、YOASOBIの名は瞬く間に世代を超えて知られることとなった。2021年7月には英詞バージョンの“Into The Night”がリリースされ、その訳詞とikuraの歌唱にも舌を巻いた。

②ハルジオン

2020年5月に配信リリースされた第3弾楽曲にして、YOASOBIの楽曲としては初めての、プロの小説家とのコラボ曲。橋爪駿輝による『それでも、ハッピーエンド』を原作として楽曲は制作されている。恋人との別れから失意の日々を送る主人公が、自身の夢や生きる意味を問い直すなかで希望を見出し、未来へと動き出すモチベーションを取り戻していく物語だ。その小説の主人公の気持ちを音楽で改めて表現したものであり、ikuraの歌唱が物語への没入と主人公への共感を強く誘う。音域の広い楽曲を、地声とファルセットを自在に操って表現するikuraの、ボーカリストとしての評価を絶対的なものにした楽曲でもあり、歌い出しからエンディングへと進む流れのなかで、徐々に強さを取り戻していく主人公の感情の動きを見事に表現している。

③群⻘

2020年9月に配信リリースされた第5弾楽曲。「小説を音楽にする」というコンセプトは制作を重ねるごとにその可能性を広げていき、今作ではタイアップとしてのYOASOBIの楽曲の面白さを見せつけた。“群青”はまず、山口つばさの漫画『ブルーピリオド』からのインスパイアがあり、「アルフォートミニチョコレート」CMのストーリーテキスト『青を味方に。』を原作として楽曲を制作するという少々複雑なもの。そのコンセプトの中心にある「青春」感を表現するために「合唱」を取り入れた楽曲の構成はAyaseの新たなチャレンジだった。疾走感のあるYOASOBIの真骨頂のようなテンポ感から、1コーラス目のサビで突然ハーフタイムフィールのリズムを取り入れるという大胆なサウンドプロダクトもYOASOBIらしい。リズムがハーフになることで、ikuraの歌声が際立ち、むしろ気持ちの高ぶりがピュアに表現されている。

④アンコール

YOASOBI初のバラード曲として、Ayaseのソングライティングとikuraの歌唱が新境地を見せた楽曲。水上下波による『世界の終わりと、さよならのうた』という小説をもとに、ストリングスを導入したシンフォニックなサウンドで「明日、世界が終わる」という壮大なテーマを楽曲化。1st EP『THE BOOK』に収録され、また配信リリースもされた。メロディの美しさ、ビートの不思議な穏やかさに引き込まれる。物語のなかで主人公が聴いている、奏でている音楽そのものを表現しているような楽曲で、物語へのさらなる没入感を生む曲でもある。ikuraのボーカルは物語の主人公を表現しながら、その主人公の「音楽に対する想い」はikura自身の感情のようにも響いて、だからこそいつにも増してエモーショナル。明日世界が終わるとしても、最後に奏でる音楽はきっと悲しいだけのものではないはずで、この“アンコール”は、その音楽が持つ切実さや儚さ、悲しさ、そして美しさまでも表現している。

⑤怪物

テレビアニメ『BEASTARS』の第2期オープニングテーマに起用された楽曲であり、同アニメ原作漫画の作者、板垣巴瑠が書き下ろしたオリジナル小説『自分の胸に自分の耳を押し当てて』をもとに制作された楽曲。まずこの楽曲を最初に聴いた時に、このサウンドと歌声は日本国内だけでなくグローバルに評価されるべきものだと思った。ベースラインが印象的なダークなトラックに乗る、ikuraの歌声の低音の魅力に引き込まれる。Ayaseの作り上げたデスクトップミュージックが、不思議なほどに人間の根源に触れるような生々しさを生み出して、ikuraのボーカルがさらに繊細な感情を表現していく。これもまた人間の「生死」に焦点が当たるヘヴィなテーマだが、そこに真っ向から向き合ったからこそのサウンドプロダクトだと思う。そしてこの曲はやはり海外でも確かな評価を得た。2021年12月、アメリカ『TIME』が発表した「The 10 Best Songs of 2021」にランクインしたことを追記しておく。

⑥もう少しだけ

『めざましテレビ』の2021年度テーマソングとして起用された楽曲。「monogatary.com」で行われた「夜遊びコンテスト vol.3 with めざましテレビ」で大賞を受賞した千春の『めぐる。』をもとに制作されている。朝の情報番組にふさわしく、おだやかで軽やかなポップサウンドと心地好いikuraの歌声が、どんな日常にも寄り添うように響く。やさしさの連鎖、厚意の伝播、ペイ・フォワードの概念が爽やかに、自分ごととして実感できるようなポジティブな楽曲は、2021年、閉塞した時代にあって、日々揺れ動く心を癒すように響いていた。ストレートに楽曲のテーマやコンセプトを表現したMVも、いつものYOASOBIとはまた違った魅力を放っている。

⑦三原色

NTTドコモ「ahamo」の「つながりによろこびを」というコンセプトから小御門優一郎が書き下ろした小説『RGB』をもとに制作された楽曲。その「ahamo」のCMソングとしても起用された。R=レッド、G=グリーン、B=ブルーという“三原色”を歌詞にも美しく織り込みながら、青春時代の仲間との再会、そしてまたそれぞれの未来へと続く物語を表現している。戻らない季節への切なさというよりも、今は別々の人生を歩んでいても、どこかで心はつながっているというポジティブな感情を、ラテンのリズムを感じさせる躍動感溢れるポップサウンドで描く。随所で効果的に鳴るパーカッション、ikuraのラップパート、終盤の力強いコーラスと、この曲に限ったことではないが、“三原色”はまったく隙のないポップミュージックだ。

⑧ラブレター

2021年8月に配信リリースされた楽曲で、「小説を音楽にする」ユニットであるYOASOBIが、初めて「手紙」を原作にして楽曲を制作した。TOKYO FM『日本郵便SUNDAY’S POST』とのコラボで、リスナーから手紙を募集し、それをもとにYOASOBIが楽曲を制作するという取り組みだった。そのプロジェクトで選ばれたのが、当時小学6年生の「はつね」さんが綴った手紙だった。そこには「音楽」に対する愛と喜びとが溢れていて、YOASOBIのふたりも、そのピュアな想いに強く突き動かされたに違いない。“ラブレター”には音楽に対する純粋な愛が溢れている。大阪桐蔭高校吹奏楽部によるブラスサウンドが、その混じりっけのない愛の歌をあたたかく彩る。ikuraの歌声はそのサウンドを得て、より伸びやかに確信に満ちた輝きを放っている。

⑨大正浪漫

この楽曲のもとになったNATSUMIによる『大正ロマンス』という小説は、2021年1月にリリースした1st EP『THE BOOK』にすでに掲載されていたもので、YOASOBIのリスナーたちからは、当時から楽曲完成への期待が高まっていた。配信曲としては、“ラブレター”から約1ヶ月のスパンでリリースされた作品となる。この楽曲の配信翌日には、大幅な加筆修正が施された『大正浪漫 YOASOBI「大正浪漫」原作小説』も書籍化されていて、楽曲化との相互作用で原作までアップデートされるという構図は、まさにYOASOBIならでは。洗練されたデジタルなトラックとビートに、良き時代の歌謡曲を思わせるメロディが乗り、時代を超えて響いてくるようなikuraの歌声が、いつもより叙情的に響く。音楽を聴いて再び小説の世界に没入したくなるという、YOASOBIというユニットの本質が、MV含め、強力に更新された楽曲と言える。

⑩もしも命が描けたら

鈴木おさむが手がけた舞台『もしも命が描けたら』のテーマ曲として、2021年8月から上演されていた舞台で公開されていた楽曲。12月1日にリリースされた2nd EP『THE BOOK 2』に音源化されたものが収録されている。鈴木おさむとは、2020年12月の6作目の配信曲“ハルカ”以来のタッグであり、鈴木の作品世界とYOASOBIの楽曲との相性の良さは実証済み。しかし今回の、まるで物語を濃縮して楽曲にまるごと落とし込んだかのような歌とサウンドには驚く。これはぜひとも公開されている戯曲とともにじっくり堪能してみてほしい。タイトルも同じく“もしも命が描けたら”としたことからも、戯曲と楽曲の間に、視点の転換やアナザーサイドへの移行といった展開も必要ないと思えるほどに、物語のテーマとYOASOBIが描きたいと思う世界が一致したということだろう。Ayaseの作り上げるダークで不思議な引力を孕むリズム、そして複雑で繊細なメロディが「命」という重いテーマをまっすぐに捉える。ikuraの歌声がそれを受け止めながら、リアルな物語をどこか幽玄で儚く描いていく。「小説を音楽にする」というテーマの「広がり」ではなく「深化」を明確に感じさせる楽曲である。まだまだYOASOBIの可能性は計り知れない。


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