今週の一枚 バンクス

今週の一枚 バンクス

バンクス
『Goddess』
発売中


ロード、FKAツイッグス、スカイ・フェレイラ、ラナ・デル・レイ、ロンドン・グラマーと、10代、20代の新しい世代の女性アーティストが続々と登場してはアルバム・オブ・ザ・イヤー級の素晴らしいアルバムをリリースしている。
各国で評価され、チャートにおいてもしっかりと支持されている。
本人のアイドル性やポップ・アイコンとしてではなく、その音楽性、アーティスト性によって支持されている。
エレクトロ、R&Bがここ数年で急激に進化して表現の自由度が飛躍的に広がったことで、ロックやポップスやダンス・ミュージックやSSWといった従来の女性シンガーの定形に収まらなくても、一人の女性、一人の人間としての固有の深い内面性をそのまま自由に音楽としてアウトプットできるようになったことがその大きな理由だ。
90年代の「ライオット・ガール」といったフェミニズムのムーヴメントよりも、音楽そのものの進化が女性の才能を解放したのだ。
この流れは止まることはないだろう。
ここ20年のあらゆる音楽的なトピックの中で最も素晴らしいことだと僕は思っている。

このBANKSのデビュー・アルバムも間違いなく大きな支持を集めるだろう。
今年のサマソニではガラガラだったが(ちなみにスカイ・フェレイラも空いていた。日本のリスナー、しっかりしようぜ)、観た人はその才能のスケールと歌の並外れた力に圧倒されたはずだ。

これまでのEP同様に、イギリスのアンダーグラウンド・プロデューサーによる荘重でゴシックな音世界で基本的にはまとめられているが、
彼女自身のピアノやアコギによるシンプルなアレンジの曲も収録されていて、ケイト・ブッシュのように自由度の高い表現に向かっていることが感じられる。
だが何よりも強いのは、フィオナ・アップルとも比較されるそのエモーショナルなヴォーカルだ。
ニュアンスやテクニックによって表面的にコントロールされた歌ではなく、
心臓から唇の先までをひとつの意志の塊のようにして放つ歌は本当に毅然としている。
サマソニで、唇ではなく顎全体を激しくビブラートさせながら歌っている彼女を観てなんか「凄いな」と思った。
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