DREAMERS(Ayase、syudou、すりぃ、ツミキ)が見せてくれた束の間の夢――コンピアルバム『龍宮城』収録の4曲を聴いた

DREAMERS(Ayase、syudou、すりぃ、ツミキ)が見せてくれた束の間の夢――コンピアルバム『龍宮城』収録の4曲を聴いた
Ayase、syudou、すりぃ、ツミキによるユニット・DREAMERSが、初音ミク「マジカルミライ 2023」の会場限定でCD販売を行ったコンピレーションアルバム『龍宮城』。
その収録曲4曲はそれぞれ配信リリースもされている。

もともとは4人以外のボカロPも含めたメンバーで始まったというDREAMERSだが、今回満を持して同イベントに向けてボーカロイド楽曲のリリースに至ったわけで。
言わずもがな、4人を結びつけるのはボカロPとしての活動であり、今やそれぞれが個々にその範疇を大きく超えたクリエイティブを発揮している。
そんな中、彼らが今、ボーカロイド楽曲をリリースするのはなぜか。

現実と理想のギャップに苛まれながらも、《いつか夢見た景色が/キラキラキラ》と一筋の輝きに期待を寄せて日々を奔走する“キラキラキラ”(Ayase)。

自他の過ちと現実から目をそむけ、《寝て起きて全部夢ならいいな》と自暴自棄にも願わずにいられない“やっちゃったわね”(syudou)。

善悪や不条理、思い通りにいかない社会へのアンチテーゼを唱え、《世界はきっと君が思うカタチに》と手を差し伸べる“フランケン・ディザイン”(すりぃ)。

強烈な韻踏みと頽廃的な詩世界で《あしたに何か期待がしたい》と孤独な心を吐き出す“シャットダウン・シティ”(ツミキ)。

今作が『龍宮城』というタイトルを冠していることにも由来するのかしないのか、どれもがままならない現実世界を生き抜く我々に静かに寄り添い、そしてそっと束の間の夢を見させてくれる楽曲たちだ。
そしてそこには、彼ら4人のボーカロイドへの愛が、ボカロリスナーへの愛がたっぷりと詰まっていることが伝わってくる。
彼らの原点にはいつだってボーカロイドがいて、この場所があるから大きく羽ばたけるのだ、と言っているかのように。(橋本創)


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