【インタビュー】MAD JAMIE、パンクロックアイドルとして自らを信じ抜いた日々と目指すべき未来が詰め込まれた新作『THIS is NONFICTION』を感情線あくびが語る

【インタビュー】MAD JAMIE、パンクロックアイドルとして自らを信じ抜いた日々と目指すべき未来が詰め込まれた新作『THIS is NONFICTION』を感情線あくびが語る
感情線あくびのソロプロジェクトとして再始動後、常に現場で激情をぶちまけるスタンスそのままに、1年足らずで優に100本を超えるライブを繰り広げてきたパンクロックアイドル、MAD JAMIE。生き急いでるんじゃないかと感じてしまうほどの速度で新曲も発表し続け、再始動当初から目標として掲げていたフルアルバム『THIS is NONFICTION』を発表した。リリース記念と銘打ったツアー開始時にはまだ完成しておらず、ツアーファイナル直前で完成したというのもギリギリまで突き詰めるMAD JAMIEらしいところでありつつ、こだわり抜いた内容はこれまでの軌跡と掴むべき未来を余すことなくパッケージし、実に鮮やかな内容。激しいパンクロックやロックはもちろんのこと、これまで以上にあくびの歌心へフォーカスしたポップチューンや壮大なバラードまで並んでおり、現状維持では満足しない彼女のスタンスが投影されていると言っていいだろう。26歳を迎え、カート・コバーンジャニス・ジョプリンジミ・ヘンドリックスらが27歳で亡くなったことでジンクスとされる27クラブへの挑戦として27日連続ライブを敢行したあくびに、フルアルバムや次の目標として定めたZepp Shinjukuでのワンマンへの想いを語ってもらった。また、一気呵成に攻め続ける勢いを体現するように、2月29日発売の『ROCKIN’ON JAPAN』にもインタビューを掲載。立ち止まることを知らないMAD JAMIEにぜひ注目してほしい。

インタビュー=ヤコウリュウジ


タイトル通り、嘘がなくて、今まで積み重ねてきたモノが詰まってるフルアルバムだなと思うし。これから先、こうなっていきたいと示唆するようなモノも入ってますね

──再始動後、新曲のリリースにしろ、ライブにしろ、とにかく駆け抜けてきた印象があります。めちゃくちゃライブもしてましたよね。

そうですね。月に少なくて10本ぐらいで、昨年の後半はツアーも回ってたから100本ぐらいはやってたと思います。ただ、その1本1本が本当に違って。向き合ってる課題が少しわかって馴染んできたなと思ったらまた違う角度から、それ?みたいなのがやってきたり。同じ日は一瞬もなかったな、って。

──新曲も増えて、スキルも身につけていって、RPGゲームでステージをクリアしていくような。

ホントにそうで。1面でボスを倒したと思ったら、2面は水の中!?みたいな(笑)。

──グループ時代から引き継いだ“Catch my life”や“FUCK FOREVER”といった代表曲も新たな息吹が吹き込まれていく感覚があったのかな、と。

引き継いだ曲が変わっていくというより、新しい特別なモノをまた作ってるみたいな感覚があって。大事なモノをJamie(※ファンの総称)とチームで一緒に作ってますね。

──そして、フルアルバム『THIS is NONFICTION』が完成しました。「TOKYO RELEASE TOUR "THIS is NONFICTION"」と銘打った昨年末のツアー最終日の終演後、ゲリラリリースされましたね。リリースしてないのにリリースツアーだったので、結局どうなるのかな、と思ってたんですよ(笑)。

あくびも同じ気持ちでした(笑)。でも、チーム全員がこだわり抜いて、(曲によっては)サブスクとCDで音が違ったりとか。

──完成した今、手応えはどう感じていますか?

タイトル通り、嘘がなくて、今まで積み重ねてきたモノが詰まってるフルアルバムだなと思うし。これから先、こうなっていきたいと示唆するようなモノも入ってますね。

【インタビュー】MAD JAMIE、パンクロックアイドルとして自らを信じ抜いた日々と目指すべき未来が詰め込まれた新作『THIS is NONFICTION』を感情線あくびが語る

潰れたペンやノートに書き殴ったモノを見て、そのときのモヤモヤした気持ちを思い出したりもするけど、ふと潰れたペン先を見て、それが自分の武器や強さになったりするのかな、って

──内容としては、新体制として発表してきた曲、グループ時代から引き継いで鳴らしている代表曲に加え、書き下ろされた新曲も収録。おっしゃったようにこれまでと今とこれからが詰まってます。数々のライブを経て、印象が変わった曲はありますか?

それで言うと“愛があふれて殺したいくらいだ”は以前やっていた頃だとザ・歌モノみたいな感覚があって、聴かせる色が強かったんです。でも、今は進化してライブ感というか、Jamieとフロアに向けてより語りかけるような距離感で歌えるような曲になっている印象があります。

──フルアルバムに目を向けると、1曲目の“FXXK YOU VERY MUCH”はいわゆるアンチさえも巻き込んでもっと進むというメッセージがあり、軽快に蹴飛ばすようなニュアンスも含め、MAD JAMIEらしい幕開けだなと思いました。

嬉しいです。ちょっと嫌なことがあっても「こんにちは、MAD JAMIEです!」って気にせず握手しにいく、みたいな。

──勝手な印象かもしれませんが、あくびさんってお話ししてると無視すればいいようなこともちゃんと受け止めて考え込むようなタイプかなと思ってて。

あぁ、ありますね(笑)。

──そういう意味では、こういう強い自分でありたい、という気持ちもあるのかな、と。

言っていただいた通り、見逃したくないという気持ちもあってそうしてる部分もあるんですけど……もったいないというか、それすらも大事にしたいし。ただ、そうすると余計なことを受け止めることもあるから、“FXXK YOU VERY MUCH”はそういう自分にもなれのかな、って気持ちで歌ってる部分はありますね。

──今回、新たな魅力が引き出されてる曲が多いなとも感じてまして。適度に重みのあるポップチューン“Blue Orange”、ミドルテンポで切ない願いを歌い上げる“baby star”とあくびさんの歌心が前に出てますよね。

自分の中でも新しいというか、これまで向き合ってきたモノとはまた違うアプローチを考えて歌った曲になってて。切ないとか繊細な気持ちを心の中から出すのは好きなことではあるので違和感みたいなのはないんですけど、いつもとは引っ張る場所が違うからレコーディングや初めてライブでやるときは戸惑いみたいなのもあったり。無意識に強く出しちゃう、みたいな。

──スイッチを入れすぎてしまうような。

自分の満足感だけじゃなくて、(気持ちを)歌に乗せて届けるまでが大切にしたいことだから、やっていくうちに学んでいった部分もあって。どうやったら相手に伝わるんだろう、ってすごく考えながら歌ってますね。

──“Blue Orange”の《潰れたペンだって 気づけば/誰にも負けない理由になった》というフレーズ、すごくいいですよね。

そういう経験ってあるし、潰れたペンやノートに書き殴ったモノを見て、そのときのモヤモヤした気持ちを思い出したりもするけど、ふと潰れたペン先を見て、それが自分の武器や強さになったりするのかな、って。

次のページ満たされて何か作ったりするモノに影響が出るほうが怖いから、幸せなんかにならないほうがいいんだろうな、とか考えることもあって
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