【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

「もしNovel Coreがソロアーティストではなく、ダンス&ボーカルのグループのメンバーだったとしたら?」という曲を作りたかった

──続く“TYPHOON”はひたすらうねるベースの上でラップも面白いように跳ねる、非常にグルーヴィーな楽曲ですね。

「あのベース、えげつないですよね(笑)。これは、『もしNovel Coreがソロアーティストではなく、ダンス&ボーカルのグループのメンバーだったとしたら?』という曲を作りたかったんです。そこからスタートしています」

──すごく興味深いです。

「同じ事務所(BMSG)にBE:FIRSTやMAZZELがいて、そのつながりでイベントとかでも他の事務所さんのグループのアーティストと仲良くなる機会が増えて、皆さん、ソロアーティストにはない一面をすごく持っているから、自分としても興味があって。そういうところにいい意味で染まりにいったときに、どんなものができるんだろうって。一度そういうのを作ってみたかったんですよね。近くにいるBE:FIRSTとかに置き換えて考えることが多いんですけど、自分だったらこういう歌詞を書くかな、こういうパートをやりたいかなとか(笑)。この曲、ダンス&ボーカルのグループにカバーしてもらえたら嬉しいですね。誰か踊ったり歌ったりしてくれないかな(笑)」

──それ、いいですね(笑)。次が“ex feat. Ayumu Imazu”。このコラボはどんなふうに実現したんですか?

「Ayumuとは2022年にラジオ番組で共演したのをきっかけに仲良くなって。同い年だし、いろんなジャンルを開拓していきたい、自分たちの世代が盛り上げていくんだみたいなところもすごくフィールしていて、いつか何か一緒にやろうという話もしていたんですよ。それで去年の4月に、Aile The Shotaが主催したイベントが大阪であって、そこに遊びにいったんです。そこでShotaがプロデューサーのA.G.Oさんに繋いでくれて話していたら、A.G.Oさんともすごいフィールして。共通の知り合いにAyumuがいるし、『Ayumuとの曲をA.G.Oさんにお願いしてもいいですか』って。それで後日正式にオファーして実現したという感じでした」

──サウンドはすごく多幸感が溢れるというか、このポップネスはすごいなと。3人でやりとりしている中で自然とそうなっていったんですか?

「そうですね。A.G.Oさんと『何も考えずに受け取り手が楽しくなっちゃう、バカになれちゃう曲って、今の音楽シーンに必要だけど、意外と多くないよね』っていう話になって。それで、テーマも難しいのじゃなくていいよねっていう話から、ちょっとクズな元カレに向けて歌ってる女の子目線で歌詞を書くのはどうだろうってことになり。それをAyumuに伝えたら『面白そう!』って(笑)」

──それで超ポップな仕上がりになったんですね。Ayumuさんとのコラボ曲としては、ちょっと意外でもあったんですよ。ここまでポップに振り切れた曲になったというのが。

「それも制作の段階で意識していました。Ayumuと僕がプライベートでも仲がいいっていうのは、お互いのファンの子たちも知っていたりするので、コラボ曲が出るというときに『ああ、これだよね』って思われるのもどうなんだろうと。だから『裏切りたいよね』、『一発目で変なの作ろうぜ』みたいな(笑)」

──やはりそうなんですね(笑)。そして次が“Hey, Rainy”。これがとてもやわらかいバラードで。この歌声もCoreさんの魅力のひとつですが、よき理解者であるUTAさんとの制作ですね。

「思っている以上にバラードを歌ったときの自分を好いてくれるファンが多くて、力の抜けたリラックスした歌声の僕を見せる場面をもう少し増やしてもいいのかもと。それでUTAさんに相談して。でもこの曲に関しては歌詞にすごく難航しました。メロディはすんなりできたんですけど、どんなテーマで書こうかというところで躓いてしまって。でも『恋愛』とか『大切な人』がテーマになる曲っぽいんだよなあっていうのはあったから、レコーディング前夜、1文字も歌詞が書けていない状態でインスタグラムのストーリーの質問箱を使って、ファンの子たちに向けて『みんなの、大切な人との出会いと別れのエピソードを送ってください。恋人でも、家族でも、友達でも、ペットでもなんでもいいから』って募って。そしたらいろんな長文のエピソードが400件くらい集まって。それを朝になるまでずーっと読みながら考えていたんですよね。それで、UTAさんのサウンドに導かれたのもあるんですけど、『雨の日に出会って、雨の日にお別れをするふたりの男女』をテーマに歌詞を書いてみようと。みんなからもらったエピソードから少しずつ感情や風景を拝借して、ある意味フィクションで歌詞を書かせてもらったのがこの曲でした」

──切ない曲ですが、複雑で繊細な感情を雨に託した美しい曲です。正直、これを一晩で書き上げたのはすごいと思う。

「エピソードを読んでいる時間のほうが長かったかも。みんなのエピソードがほんとによすぎて、読みながら胸がきゅっと苦しくなるようなエピソードもあったりして。あと、みんな文章を僕に送るために書いている間にも、いろいろ思い出したんでしょうね。『やっぱめっちゃ好きだったなあ』っていうつぶやきで終わっているエピソードもあったりして、わあ、これは曲にしてあげなきゃなって思いました。だからこれはみんなと一緒に作った曲なんです」

【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

このアルバムが「ヒーロー」というコンセプトを持つに至った経緯として、外せないのはやはりSKY-HIという存在

──そしてラストがタイトル曲の“HERO”。この、ミドルテンポのロックチューンに、すごく今のNovel Coreの自信と覚悟を感じます。もちろんここに至るまでの葛藤や迷いもあったと思いますが。

「このアルバムが『ヒーロー』というコンセプトを持つに至った経緯として、外せないのはやはりSKY-HIという存在です。自分は15〜16歳で音楽の業界に飛び込んで、MCバトルで耳目を集めたものの、同じタイミングでバッシングも浴びて、結構苦しかったのが2017年頃。ちょうどその頃に日高さんがSKY-HI名義で武道館2デイズ成功させている。僕はSKY-HIの“Over the Moon”という楽曲の『派手に転んだら足元に月がいて、その月が自分を見て笑うから、自分も思わず笑った』っていうような歌詞を聴いて、確かにたまには思い切り転んでみるのもいいのかもなって思えたんですよね。それが自分のメジャーシングル“SOBER ROCK”の歌詞につながっていたりして。で、当時の自分からしたら、とてつもなくキラキラしていて強くて、誰も寄せ付けないスーパーヒーローに見えていた日高さんですけど、その背中をずっと近くで見てきて気づいたのは、ほんとは当時の僕よりも繊細で弱いんじゃないかということでした。すごく脆くて繊細で壊れやすいからこそ、同じく壊れそうな人に手を差し伸べられる。そういうのが本当のヒーローの姿だというのが、僕の答えだったんですよね。だから今、自分にとっての日高さんみたいな存在に自分自身がなったタイミングで、それを歌っておかなければいけないと思ったんです」

──だから《夢を見て 躓いた君の目は僕によく似ていたんだよ》っていうところの説得力はすごく強いんですよね。弱さを見せることも強さだし。バンドサウンドからも、その思いが強く届く楽曲です。

「バンマスでもあるギターのクマさん(クマガイユウヤ)主導で作っているんですけど、それこそ僕が今話したみたいな『こういうテーマで作りたい』というのを最初に全部伝えて。それでクマさんも『これはめちゃめちゃ俺も頑張んないとね』って挑んでくれたんです。僕からのクマさんへのいちばん大きな要望は『ギターで歌ってほしい』ということでした。『この曲はギターが歌う必要がある。ボーカリストになってくれ』と。それこそ僕のラップパートのあとにギターがひとりで泣くところがあるんですけど、あそこはほんとに僕の声では表現できないものだし、むしろ歌詞のないあの小節にすべてが詰まっていると言っても過言ではない。あのインストの時間で、僕はこの曲の本質をみんなに感じてほしいし、想像してほしいという思いがすごくありました」

──確かにあそこは声にならない叫びのようなギターの音色で。《理屈じゃない》っていうリリックもあるけど、まさにそれをサウンドが表している。

「そこに続く《どうなっても笑える“僕”を選びたい》という歌詞も、すごく大事なラインで。ここ、もともと僕は『どうなっても笑える“道”を選びたい』って書いてたんですけど、そこはなんか違うな、これではないなって引っかかってたんですよね。もっと『これしかない』っていうワードがあるはずだって。マネージャーのケイスケさんにもそう話して。ケイスケさんはこの2〜3年、僕とほぼ同じ目線で一緒に戦ってきてくれた人で、なんなら僕に対しての解像度は僕より高かったりする(笑)。そのケイスケさんの意見を聞きながら、『“道”じゃなくて“僕”じゃない?』って。ここを『“僕”』にすれば、選んだものは僕自身なので、失敗しようが泣きわめこうが納得できる。そう言える道をずっと探し続けてきたんじゃないかというところに辿り着いたんです。このピースがはまったときの鳥肌が立つ感じは忘れないですね」

──「ヒーロー」として、Novel Coreはどんな歌を届けていきたいと思っていますか?

「僕は、自分がいちばんしんどかった時期、フラワーカンパニーズやSKY-HI、ラッパーのZORNさんに、その歌ですごく助けてもらったという思いがあります。そういう曲すべてに共通して言えることは、『聴いた自分がその曲の主人公になれた』ということ。『これは僕に歌っているのでは?』と思えるほど、歌が自分の日常の中にスッと溶け込んできた。だから自分も一貫して、受け取り手の誰もが主人公になれる曲を作っていきたい──そういう思いはずっとありますね。自分の音楽を聴いてくれた人の中に、現在進行形で今悩んだりもがいたりしている人たちがいたとして、僕が当時日高さんから何かをもらって、ここまで来て、そういう音楽を作る側になったのと同じように、数年後、その人たちにも次の世代に何かを届ける人になってほしいという思いもあるし、そうやって受け継がれていくことでカルチャーは回っていると僕は思うので。僕はそのカルチャーのひとつの灯火になれたらいいなと思っています」

──このアルバムがリリースされるのは武道館公演の翌日。きっとライブも素晴らしいものになっただろうし、3月からは、自身としては過去最大規模のツアーも始まります。2024年は、Novel Coreの新たなフェーズの幕開けと捉えてよいですね。

「そういう意識はめちゃめちゃ強いです。武道館公演が終わったあとは、良くも悪くも言い訳ができなくなるフェーズに入っていくと思うんですよね。いわゆるヒットアーティストとして、日本の音楽シーンのど真ん中に自分たちを持っていけるように、ここからの数年間が勝負になると思っています」

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ヘア&メイク=クジメグミ (L & Co.)

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