【インタビュー】ミヤ(MUCC)×千秋(DEZERT)特別対談!――ターニングポイントを迎えた両バンドのキーマンが語る、音楽と生き様

【インタビュー】ミヤ(MUCC)×千秋(DEZERT)特別対談!――ターニングポイントを迎えた両バンドのキーマンが語る、音楽と生き様

最近、いい会場は郊外が多くて。でも、25周年は「東京の中心でファイナルをやってみてえな」と思ったんだよね(ミヤ)

――2023年末にMUCCはアルバム『Timeless』をリリースし、そしてDEZERTは1月10日にメジャー1stアルバム『The Heart Tree』をリリースします。お互いの作品をどのように受け取ったかも、是非話し合っていただければ。



千秋「MUCCに関しては、アルバムがどうというよりも、『すげえスピードだな』と思っています、いつも。『僕らが1枚アルバムを出す間に何枚出すんやろう?』と思うくらい、インプットしてからのアウトプットが速い。だからアルバムを聴くと、『このアルバムのここがよかった!』というよりも、『今回はこうなんや』と感じることのほうが多くて。実験的なことをずっとやっているイメージがありますね。ミキシングまで自分でやってらっしゃるからこその速さでもあると思うんですけど、いつも脱帽します」

ミヤ「スピードは確かに速いほうだけど、2023年に関して言うと、インプットがゼロでアウトプットばっかりしちゃったな、という感じもあって。だから最近は、外タレのライブとかに行きまくっている。インプットへの欲求が抑えられなくて」

――「結成25年」というMUCCが歩んできた時間の長さに対しては、千秋さんは思うことはありますか?

千秋「MUCCって、25周年がどうというより、毎年周年をやっている感じしません?」

ミヤ「(笑)やってることが多いってことでしょ?」

千秋「そう、逹瑯さんにも言ったんですけど、活動が狂っていますよ。僕はこのタイム感では絶対に活動できないので……引いています(笑)。本当に脱帽。僕らはスタッフが一緒で、スタッフから『MUCCはいい時と悪い時の波がすごい』という話を聞いたりもするんですけど(笑)、その波はまだこの先も続くんだろうし、いい意味で、安定はしないんだろうなと思う。あと、25周年の最後のライブが国際フォーラムなのも、意味を感じました」

ミヤ「国際フォーラムって、昔は武道館の1歩手前でやる場所という感じだったけど、最近はライブハウスもデカい会場ができてきて、あまりロックコンサートをやらなくなっちゃったんだよね。だけど、ステージに比べて客席が広くて椅子も豪華だし、ロックをやるにもすごく音がいい場所で。あと、東京駅周辺っていう立地もいいなと思ったんだよね。Zeppなんかがそうだけど、最近、いい会場は郊外が多い。でも今回は『東京の中心でファイナルをやってみてえな』と思って」

――ミヤさんは 25周年の活動を経て、思うことはありますか?

ミヤ「うちはちょっと前にドラムが辞めているんですけど、その時点でバンド的にはマイナスじゃないですか。そこからサポートを入れて活動していくという中で、気合いを入れないといけなかった。活動のペースを緩めると、バンド自体が弱まってしまうような気がしたんですよね。それで『今やれることは何か?』と考えて25周年をやった感じはあって。だから『やりすぎ』と言われても『やりすぎてるな』と自分でも思いながらやっていたし、それをやり切れたことはバンドの自信にも繋がりましたね。『その先』を続けるために25周年を通していろんな活動をした、という感じだと思います。でもまあ確かに、活動のペースはバグっているんです、うちは。2023年は100本ライブをやっているんですけど、それでも『まだ足んねえ』と思っちゃって。だから、千秋に教えてほしいよ」

千秋「え?」

ミヤ「このペースじゃないペースで生きていくにはどうしたらいいの?」

千秋「……ちょっと休んだほうがいいっす(笑)」

ミヤ「休んだら不安になるんだよ」

【インタビュー】ミヤ(MUCC)×千秋(DEZERT)特別対談!――ターニングポイントを迎えた両バンドのキーマンが語る、音楽と生き様

歌詞からメロディを作るって、すげえクリエイティブな気がする。俺もやってみようかな(ミヤ)

――ミヤさんは、DEZERTのアルバム『The Heart Tree』はどのように聴かれましたか?

ミヤ「DEZERTはメロディに癖があるんですよね。『DEZERT的なメロディ』というものがある。千秋は意識してやっているの?」

千秋「僕は激ポップだと思ってやっているんですけどね」

ミヤ「ポップだと思うよ。今回は、その幅がちょっとだけ広がったと思う」

千秋「それはパソコンのおかげだと思います。僕、作曲を始めたのがDEZERTを始めてからで、最近になってようやくコードがわかってきたような感じなんで。今までは『3コードでずっとやっている』みたいな感じで、基本的には同じような作りで曲が生まれていたんですけど、最近パソコンを買ったのでスペックが上がったんです。今まではギターの音色を足していくだけのアレンジだったけど、その幅が広がった」

ミヤ「今の話を聞いても思うけど、『これしか知らない』という中でバリエーションを生み出せるのがすげえと思うんだよ」

千秋「元ネタというか、その時ハマっているものを分解してみて『こういうコード進行があるんだ』とか『この後ろで鳴っている音はなんだろう?ということを探るのが好きなんです。でも、それをアウトプットはできなくて。デモは大量にできるけど、それをメンバーに聴かせてみよう、とまではいかない」

ミヤ「デモがいっぱいあるってこと? それすごいな。俺、メンバーに聴かせていない新曲のデモってないんだよ」

千秋「ええ? マジっすか?」

ミヤ「曲出しで『この日までにひとり2曲作ってこよう』となったら、2曲しか作らないから。日常的に何かを作って録っておくとか、そういうことをしない。iPhoneに鼻歌と元ネタのアーティストのリンクを貼ったネタ帳みたいなものはあるけど。でもさ、鼻歌でメロディができる時って、頭の中でオケも鳴るじゃん?」

千秋「いや、僕は鳴らないです」

ミヤ「そうなんだ! 俺の場合、鼻歌を録音しても頭の中のオケは録音できないし、その時鳴っていたオケをあとから想像するのがマジで大変だから、iPhoneの録音はほとんど採用されることがなくて。千秋はメロディから曲を作ることもあるの?」

千秋「いや、メロディから作ることはほとんどなくて。大体は歌詞かコードからできますね。最近は歌詞からが多いです」

ミヤ「俺が歌詞から作ったのは、250曲中2曲くらいだな。でも、歌詞から作れるのはいいと思う。歌詞からメロディを作るって、すげえクリエイティブな気がする。俺もやってみようかな」

千秋「最近、作曲に関しても他のアーティストを参考にしたり、いろいろ勉強しているんですけど、アレンジャーが入っているところは強いなと思いますね。『自分でアレンジをするのって限界があるんやな』と思う」

ミヤ「確かに、俺らも初めてアレンジャーに入ってもらった時、『新しい引き出しがいっぱいあるな』と思ってすげえ楽しかったのを覚えている。『俺っぽいけど、地味かな』と思っていた自作のメロディが、アレンジが変わるだけでこんなにいい曲に聴こえるんだっていう経験もしたし。『アレンジの妙ってすげえな』と思って、全部盗んでやろうと思った。そんな感じで当時はやっていたな」

千秋「僕、今回のアルバムまでは概ね自分でアレンジをしていたんです。歌詞もアレンジもハモリも作り込んでからデモを出していて。嫌いやったんですよ、フィーチャリングとかも。でも、それを続けていくと曲が似たような感じになっていくんですよね。『音楽を作る』というよりは、『音楽を楽しむため』に、アレンジや音に関して他の人に入ってもらうのもいいのかなと最近思っていて。今度是非、ミヤさん入ってくださいよ」

ミヤ「俺が? いいよ、やるよ。DEZERTは、曲は千秋以外も書くの?」

千秋「いや、うちは僕だけですね。前にSacchan(B)が『DEZERTはもう、千秋くんでよくない? そういうバンドじゃん』みたいなことを言ってたんですよね。だから、僕は『曲を書きたい』というよりは『書かせていただいている』という立場でもあるんです。そこに責任があるというか」

ミヤ「いいね、それは。それを全部やり切れるならかっこいいと思うな。俺は絶対に無理だもんね。自分が全部の曲の歌詞も書くとなったら、絶対に無理。でも、やり方がバンドによって違うのは、そりゃそうだよな」

――DEZERTの曲をミヤさんがアレンジするのは、是非聴きたいですね。

ミヤ「わかんないですよ、使ってもらえるかどうかは(笑)」

千秋「うちの事務所のいいところって、みんなが音楽バカなところだと思うんですよ。本当に音楽が好きで、音楽に呪われている、そういう人たちが集まっている。だから、煮詰まった時に助けてもらえたり、一緒に音楽で遊んでもらえる環境にいるという部分は、使わない手はないのかなって最近は思います。ミヤさんも案外、飲むと真面目だし」

ミヤ「なんなんだよ、真面目じゃダメなのかよ(笑)。『怖い』と思われても、それが俺の普通なんだよ」

――(笑)。ミヤさんからDEZERTのこの先に対して期待することはありますか?

ミヤ「この間、ライブを観て『武道館、全然いけるな』と思ったんです。だから、ないっす」

千秋「(笑)」

ミヤ「DEZERTが武道館に立っている姿が、新宿BLAZEでも想像できたんですよ。『つまんねえなあ』と思って。もっと武道館までにもがき苦しむドラマがあるのかなと思ったけど、『やれそうだな』と思っちゃった。それが個人的な意見です。『DEZERTはもっとすごいものになるんだろうな』と、ハードルを上げておくことしかできないですね」

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