初めてライヴをした時に「生きてる」って思ったんですよ。それが忘れられなくて今もずっと続けてる

──なるほど。ではアルバムの中身について訊いていきたいんですが、まずオープニングの”day by day”、聴いた瞬間にすごく世界が広がっていくっていうか、スケールが大きな曲ですよね。

粟子 これはアルバムの中では結構最後のほうに録音したんですけど、1曲目はこのアルバムの自己紹介的な、アルバムのテーマみたいな曲を入れたいなって思っていて。だからこの“day by day”っていう曲はこのアルバムのことを歌った、そんな曲ですね。1行目に《星が降る 丘の上》って出てくるんですけど、夜中に歌詞書いてたんですよね。朝が来る前、夜明け前。そういうのもあって、これから始まるぞっていう感じを出したくて。でもカーンって始まるんじゃなくて、じわーっと夜が明けていくよっていう感じと、「ずっとあなたが来るのを待ってました」っていう気持ちも込めて、世界に引きずり込むって言ったらあれですけど、「おいでよ」っていう感じで。もともと同じメロを使わないみたいなことを1回やりたくて、だからこの曲1番・2番とかがないんですよね。A、B、サビ、サビダッシュ、サビダッシュダッシュみたいな感じでいろんな展開をして、駆け抜けていくような曲にしたいなと思ってたんで。うまくできたかなと思っています。

──ここで歌われてる「君」とか、粟子さんが書く歌詞にはたくさん「君」とか「あなた」とか出てくるんだけども、どういう存在なんでしょうね。

粟子 近くにいるけど見えてなかったり、大切なものですね。僕の中で「君」ってすごい音楽に置き換えられることが多くて……ほんとに僕の中で音楽ってすごいでかいんですよ。音楽に人生変えられたというか。

──2曲目の“ここに在る”もやっぱり「君」に向かって歌っていますよね。

大野 これはできたのは結構最初のほうです。“ここに在る”は言ったらこの『Relight』の押し曲というか、ひとつキーになる曲になるようにっていうふうに作っていったので、結構最初のほうからずっと取りかかっていましたね。あとからできたというよりは、じっくり作っていったっていう感じです。

──サビの《ここには何がある 守りたいものは何だ/そこから始まる 想いが生まれる》とかさ、「これだ!」っていう強い言葉だよね。

粟子 でも、実はそんなに考えてなくて。すらっと出てきた言葉がこれだったんですよね。たぶんこれもやっぱり、僕の中で音楽はなくてはならないもので、音楽が原動力で、僕がここにいれてんのは音楽のおかげだと、そういう意味なんだと思います。

──粟子くんは音楽から何を一番もらったんだと思います?

粟子 初めてライヴをした時に「生きてる」って思ったんですよ。「これだ」と思って。とんでもなく楽しくて、自分が自分じゃないというか、魂だけになったような感覚というか。それが忘れられなくて今もずっと続けてるんだと思いますし、そういう体験をしたんで、僕の中では音楽はもうないと困ります(笑)。なければここにいないって感じで。

──“Orange”っていう曲にも「君」が出てくるけど、この曲は「ありがとう」って言葉で終わるのがすごくいいんだよね。

粟子 あんまり「ありがとう」って言ったことなかったんですけど、今まで。たぶん初めてぐらいに使いました。

大野 相当ストレートですよね。

粟子 今のほんとの気持ちというか、ツアー回ってこれ書いてた時、「ありがとう」っていう気持ちがすごい大きくて。1曲ぐらいストレートを投げてもいいんじゃないかなって(笑)。

──《君がいてくれたから/新しい僕に出逢えた/色鮮やかな毎日が/届けてくれた「ありがとう」》ってすごく率直だよね。まさに音楽に対しての思いでもあるし、ライヴとかやりながら感じたお客さんに対する思いでもあると思うし。

粟子 ですね(笑)。実際ツアーで全国行って、こんなに待ってくれてた人いるんだっていうのも思いましたし。音を待ってくれてた人の顔、こんなにいい顔で聴いてくれるんだっていうのもあって、すごい勇気と元気をもらえるなと。ほんま「ありがとう」って思いました(笑)。

井川 日本各地に僕らのことを知ってて、好きでいてくれる人がいるっていうのは、普通に考えてるけど結構すごいことやなと思うんで。奈良で生まれたけど、北海道でも俺らのこと知ってる人いるで、みたいな(笑)。

──ははははは! そうだよね。

粟子 奈良の田舎でな(笑)。

大野 でも僕的には結構責任感みたいなものも生まれてますね。最初はやりたくてやりたくて仕方なくてバンド始めて、曲作ってCD作ってっていう、僕らだけでやってたような活動がいろんな人を巻き込むようになったりして。そうなった時に、1回立ち返るというか、作品作る時に。「なんでこれを作るんだろう」みたいな、そういうことはすごく最近よく考えるようになりましたし、やっぱりいろんなことを音楽につなげようと日々思うようにはなりました。そこと真摯に向き合わないと、って。

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企画・制作:RO69編集部

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