『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
今号のレビュー作品リストにEve × Deuの文字を見てアガった。「そうきたか」という意外性と「合いそう」という納得感、「どうなるんだ？」という不確定要素がちょうど等分の、なんともワクワクするコラボじゃないか。かつて一世を風靡した宇宙人・UMAの名がついた不可思議なタイトルもいい。で、何より曲がいい。速めのビートと不穏なベースラインを下敷きに、Deuによる巻き舌まじりのラフなフェイクやラップ、イノセントに響くEveの歌声が交錯しながら進行するサウンドは、雑然とコラージュしたようでいてコーラスやエフェクトの細部まで抜かりなく、サビで重なり合うふたりの歌声の突き抜け方は爽快ですらある。その一方でリリックはかなり厭世的だが、時間の経過や立場の変化の中でいつの間にか溢れ落ちてしまった大切な何かを想起させる過去形の表現が並ぶ中、ふと忍ばせた《キラキラのカード 僕らはずっと／胸のポケットに隠し持っている》というパンチラインは、心の奥底にしまわれていた感性を呼び起こす。（風間大洋）（『ROCKIN'ON JAPAN』2024年6月号より抜粋）
『ROCKIN'ON JAPAN』6月号のご購入はこちら
