KISS:これでさらば……ではなかった! ファイナルコンサートを終えて、新時代に突入!

KISS:これでさらば……ではなかった!  ファイナルコンサートを終えて、新時代に突入! - rockin'on 2024年2月号 中面rockin'on 2024年2月号 中面

「ロックンロール」とは「エンターテイメント」の別の名前である。そう思わせる完全無欠のロックショウを最後まで貫徹した。ホラー映画もテーマパークをものみ込んだ一大アミューズメントワールドに、KISSメイクを施した親子連れも狂喜乱舞している。子供はもちろん、大人も童心に返って楽しめる。それがKISSイリュージョンなのだ。

彼らが、最後のツアーと銘打った「END OF THE ROAD WORLD TOUR」のファイナル公演をニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンにて二夜連続で行った。その最終日(12月2日)は有料配信もあったため、それを観た日本のファンも多かったに違いない。筆者も配信で観たが、内容は2022年11月30日に行った東京ドーム公演から大きな変更はなかったものの、バンド生誕の地で有終の美を飾るパフォーマンスを1秒も見逃したくない!という熱気をひしひしと感じた。演者もそれは同じで、「ニューヨーク!」とポール・スタンレーはライブ中に幾度も叫んでいた。泣き笑いを超えた感情の発露が場内には充溢していた。

KISSの凄さを改めて考えると、ビジュアル、ソングライティング、パフォーマンスの三位一体で作り上げた強固な世界観だろう。幼少期に観たアニメや映画の登場人物に近しいキャラクターが現れ、その個性をより輝かせる楽曲を作った上で、観る者をギョッ!とさせる仕掛けを容赦なく取り込む。ジーン・シモンズが血も火も噴くパフォーマンスはお約束とはいえ、何度観ても心がザワつくものだ。

ロック界における地獄のヒーロー、稀代のエンターテイナーが約50年に及ぶ活動に終止符を打った。しかし、最終曲“ロックン・ロール・オール・ナイト”をやり終えた後、メンバー4人のアバターが登場。どうやら、今後はアバターがKISSの偉大なる功績を受け継ぐらしい。バンドの生誕地を新たな出発地に切り替えたKISS。彼らはまだまだ我々を楽しませてくれそうだ。KISSの世界にジ・エンドはない。 (荒金良介)



KISSの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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