この夏一と言えば、コールドプレイに始まりアーケイド・ファイアに終わる『BOYHOOD』が傑作(涙)。

この夏一と言えば、コールドプレイに始まりアーケイド・ファイアに終わる『BOYHOOD』が傑作(涙)。

この夏一と言えば、書こう書こうと思って書きそびれたいたこの夏一の傑作『BOYHOOD』。

これはリチャード・リンクレーターがなんと同じ俳優を使って12年間撮り続けた作品だ。少年が6歳から大学に入るまでの成長物語を描くにあたり、同じ俳優で毎年2、3日ずつ撮影して、それを12年間続けたのだ。だから、俳優の成長がそのまま主人公の成長に反映されている。

これまで『UPシリーズ』と言って、同じ人を7年ごとに撮影するというドキュメンタリー映画は存在したものの、同じ俳優で12年間撮り続けたフィクションというのは、ありそうでどこにもなかった。

リンクレーターは、これまでにも、イーサン・ホーク&ジュリー・デルピーと『ビフォア・サンライズ』、『ビフォア・サンセット』、『ビフォア・ミッドナイト』で、時間の経過と人間関係についての作品を撮ったこともあるので、今回の作品はすごく納得がいくのだ。

『BOYHOOD』は、本当に傑作だ。アメリカでも絶賛されていて、全米批評家がほぼ全員100点を付けているほど。批評家の点数を集計したサイトはこちら。有名批評家の点数だけだとマジで100点なのだ。
http://www.rottentomatoes.com/m/boyhood/

この作品の素晴らしいところは、この少年の成長物語が、カタルシスありありのドラマで綴られていくのではなくて、ニュアンスの積み重ねの思いきりリアルな内容になっていること。本当の人生ってむしろそういうものだし、思い出のアルバムを何気なくぱらぱらとめくっていくような作品なのだ。でもだからこそ、その隅々から心に突き刺さるような言葉があって、しかもそれが深く心に残る。

とりわけアメリカ人の男子に話を聴くと、みんな口を揃えて、「これは俺の物語そのものだ」と大主張する。面白いのは、中には、「あまりにリアルすぎて受け取れない」という人もいたし、「これはアメリカの物語ってだけじゃなくて、90年代のアメリカの物語なんだ。それは離婚した両親の元に育った子供達の話で、だからこれは俺の物語なんだ」と涙目で力説する人もいた。

リンクレーターはこれまでも長年尊敬されてきた監督だけど、これで本当に評価された気がして嬉しいと思っているファンや批評家も多い。元々インディ映画としての単館での上映だったが、先週から全国で公開され、興行成績も10位を獲得した。

リンクレーターのことだから、サントラも素晴らしくて、コールドプレイに始まり、終わりは、アーケイド・ファイア。サー・ポールの曲まで使われているのだが、よく許可が取れましたね?という質問に、「どういうわけか知り合いの知り合いのおかげでみんな安い値段で許可してくれたんだ」と語っていた。映画の冒頭は、最初からコールドプレイにしようと決めていて許可してくれなかったらどうしようと思っていたそう。

さらに、「この曲がみんなの人生のサントラとして響いてくれたら嬉しい」とも。

父親を演じるイーサン・ホークがこれまた本当に素晴らしい演技で、もしかしたらこれまでの彼の演技でも一番かもというくらい。また、彼の役がウィルコの大ファンという設定も素敵だ。さらに息子に『ブラック・アルバム』と題したミックステープをあげるのだ。これはグッとくるシーンなので内容は観てのお楽しみ(涙)!

日本公開は、11月14日に決定したよう。タイトルも『6才のボクが、大人になるまで。』だそう。この映画は必見!!!!!監督に取材したい〜。
http://tohotowa.co.jp/news/2014/08/61114.html

予告編はこちら。

サントラに収録されている曲は以下の通り。
1. Summer Noon/Tweedy
2. Yellow/Coldplay
3. Hate To Say I Told You So/The Hives
4. Could We/Cat Power
5. Do You Realize??/The Flaming Lips
6. Crazy/Gnarls Barkley
7. One/Vampire Weekend
8. Hate It Here/Wilco
9. Good Girls Go Bad/Cobra Starship
10. Beyond the Horizon/Bob Dylan
11. Band On The Run/Paul McCartney & Wings
12. She's Long Gone/The Black Keys
13. Someday That I Used To Know/Gotye
14. I'll Be Around/Yo La Tengo
15. Hero/Family of the Year
16. Deep Blue/Arcade Fire
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする