《楽しくなる余地ばかりの世界で》──この世でいちばん素敵な「余地」を歌うTOMOOの新曲“あわいに”が、軽やかなサウンドともに心をそっと軽くする


TOMOOが4月3日にリリースした最新曲“あわいに”を聴いていると「よち」という音が耳に入ってきて、てっきり「予知」だと思っていたらなんと「余地」だった。《楽しくなる余地ばかりの世界で》《仲良くなる余地ばかりの世界で》《味わう余地ばかりのこの世界で》──「余地」という言葉が、かつてこんなにもポジティブに響いたことがあっただろうか。

「余地」とは「必要以上の分まで余ってはいないが、必要なもののためには残りがあること」の意味として使う言葉らしい。必要以上を求めず、しかし世界にはまだまだ明るい未来に向けた余地があるという「足るを知る者は富む」ような姿勢。以前アルバム『TWO MOON』のレビューで、「TOMOOは、簡単に白黒つけられない私たちの日常をトワイライトで包み込んでくれる稀有なアーティストだ」と書いたけれど、この“あわいに”というタイトルは、まさにそのTOMOOのアティチュードを言い表しているように思う。

白黒つけられない私たちの日常をトワイライトで包み込む――TOMOO初のフルアルバム『TWO MOON』を聴いて
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「物と物、人と人などのあいだ」を示す「間(あわい)」という言葉を表現するかのごとく、リズムとリズムの間を軽やかな足取りで駆け抜けてゆくメロディは、サビで「あ、」というつぶやきとともにふと足を止める。「ああ」でも「あっ」でもなく「あ、」というふとした静止。その瞬間《今吹いた 風はさみしさより/わたしの形を 軽やかになぞる筆》が淡い自分の輪郭を縁取って、《ああ、まばたいた 先に誰かがいる》という気づきを連れてくる。

サウンドの重心も少し高くにある感じで、味つけのシロフォンやフルートがどこまでも軽やか。ボーカルもいつになく肩の力が抜けていて、地声とファルセットのあわいが心地よく、2音ずつジャンプするような足取りの調べに乗せて《楽しくなる余地ばかりだ 今から》というこの世でいちばん素敵な「余地」を歌う。

春といえども不安定な天気が続き、低気圧で重たくなった体を吹き抜ける優しい春風のような曲。(畑雄介)


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