くるり、『TEAM ROCK』&『THE WORLD IS MINE』再現ライヴ! あの頃と「今」が繋がった一夜をレポート!

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現在、コンセプトライヴツアー「くるり 20th ANNIVERSARY「NOW AND THEN vol.2」を敢行中のくるり。2015年11月16日、その東京公演の初日がZepp DiverCityにて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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くるりが来年の20周年イヤーに向けたプロジェクトとしてスタートしたライヴシリーズ「NOW AND THEN」。これまでの作品を今のくるりの演奏で振り返る好企画だ。1stアルバム『さよならストレンジャー』と2ndアルバム『図鑑』を曲順どおりに完全再現したvol.1に続き、今回のvol.2で披露されたのは、“ばらの花”や“ワンダーフォーゲル”を収録した名盤3rdアルバム『TEAM ROCK』(2001年)と、“WORLD’S END SUPERNOVA”を収録した問題作と言われる4thアルバム『THE WORLD IS MINE』(2002年)。いずれも、デビュー初期の衝動を超えて、バンドがより自由に変化していく時期の作品だ。そうした当時の楽曲を、2015年のくるりがいかに再現するのか。注目の公演が幕を開けた。

真っ青な照明のなか、ダニエル・セペによる民族音楽的なナンバーに合わせメンバーが登場した。まずは『TEAM ROCK』の1曲目を飾るヒップホップテイストの“TEAM ROCK”からライヴはスタート。あのぐちゃぐちゃと入り乱れたイントロを、野崎泰弘(Key)のピアノに岸田繁(Vo・G)と松本大樹(G)が吹くトロンボーンが絡み合う形で再現。岸田が転がすラップには《あれから15年の月日が経ち あいも変わらず俺らステージに立ち》と、リリックが少し追加されていた。Cliff Almond(Dr)のカウントを合図にキラキラとしたフレーズが流れ出した“ワンダーフォーゲル”では、フロア全体を明るい光が照らし出し、ダイナミックなバンドサウンドが届けられた。加藤哉子(Cho)とアチコ(Cho)を加えた7人編成による演奏が、あの頃の景色をフロアにみるみると映し出してゆくようだ。

会場の誰もがこのまま『TEAM ROCK』の楽曲が披露されていくのだろうと思ったところで、突如ライヴの流れは『THE WORLD IS MINE』へと変わった。真っ赤にギラつく照明のもとに放たれたチャイニーズロック“GO BACK TO CHINA”では、疾走感のあるバンドサウンドにのせて銅鑼が盛大に鳴り、続く『TEAM ROCK』の“トレイン・ロック・フェスティバル”では骨太なロックンロールセッションを繰り広げられる。あくまで完全再現にこだわったvol.1とは異なり、どうやらvol.2はライヴの流れも重視して、2枚の作品を行き来する展開になりそうだ。「今回はアルバム再現ライヴと言っても、随所で好きなことをやってます。これ大事ですね」「途中まで再現して、混ぜて、若干あやふやなところを残したら、このアルバムはこうだ!じゃなくて、あの時代の雰囲気になっていくんちゃうかな」と岸田が告げると、続いては『THE WORLD IS MINE』のナンバーへとなだれ込んでいった。

この時期のくるりと言えば、テクノ/ハウス/ダンスミュージックを取り入れたサウンドも特徴だが、ライヴの後半は『THE WORLD IS MINE』からの“水中モーター”と“WORLD’S END SUPERNOVA”、さらに『TEAM ROCK』からの“C’mon C’mon”という、くるり流ダンスミュージックとも言うべき楽曲をノンストップで披露した。佐藤征史(B)が奏でる重低音の存在感と、一定のリズムで刻むダンスビート、岸田のオートチューンボーカルと女性コーラスによるハーモニーが心地好いトリップ感を生み出していく。この曲のあと、岸田はかつてはクラブに頻繁に足を運んでいたと話したが、その経験をバンドに持ち込んだことで生まれたのがこれらの楽曲なのだろう。時代ごとの嗜好をバンドの音として貪欲に吸収してきたくるりだからこそ、今回のライヴは、これまで歩んできたプロセスを改めて確認する場としてとても有意義なものであると思う。

再現ライヴということで、今回は物販紹介も5~6年ぶりに復活させて、岸田と佐藤が息の合ったグッズ紹介で湧かせた。そしてライヴ終盤には”ばらの花”が披露される。岸田の朴訥とした歌声と、優しく繰りかえすメロディラインが会場を温かい空気で包んでいく。最後に岸田は、「おかげさんで、くるりは来年結成して20年を迎えることができるかな、という感じです。こうやって、いろいろやってるから20年やってるんでしょうな。また、これからもいろいろやり続けると思います」と告げると、『TEAM ROCK』のラストソング”リバー”でライヴを締めくくった。岸田の奏でるバンジョーの音色をはじめ、7人の音がにぎやかに重なるピースフルな演奏が、ラスト向けて熱量を高めていく様は圧巻だった。

アンコールでは、「再現じゃないナンバー」も織り交ぜながら3曲を披露。2枚のアルバムの曲がほぼまるごと演奏された約2時間。岸田はしばしばMCで「長いっ!」と口にしたが、全くそんな印象はなかったと思う。アルバムに収録された1曲1曲の持つ雰囲気を正しく引継ぎながらも、2015年のくるりの表現力をもってしてそれらのイメージを再構築していく。単なる懐古趣味では終わらせないという、くるりの現在進行形のバンドマンとしての気概を見ることのできた、とても意義深い時間だった。(秦理絵)

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